育毛剤に含まれる「エタノール」の役割とデメリット
国内・海外、市販・通販、医薬品・医薬部外品などの種類に関わらず、現在販売されている育毛剤のほとんどに「エタノール」が配合されています。
エタノールはアルコール成分のため、頭皮に塗った際に刺激を感じる方も少なくありません。
商品差もありますが、一般的な男性用育毛剤で50%〜70%、女性用として開発された中で少ないものでも20%〜30%はエタノール成分と言われています。
この情報を知った時、「なぜ、エタノールを配合する必要があるの?」と素朴な疑問が生じました。
そこで、ネットや書籍で詳しく調べてみることにしました。
以下はそのまとめです。
育毛剤に含まれるエタノールの役割
製品の品質保持のため
製品の開封後、常温保存すると雑菌などで劣化しやすくなります。エタノールには殺菌作用や防腐剤の作用が期待できるため、育毛剤に限らず多くの化粧品などに配合されています。
成分を溶解するため
育毛剤に含まれる有効成分・その他成分を合わせると数十種類にも及びます。(多いものでは60種類近く)
その中には、水分や他の成分とうまく混ざらないものも多いため、それらを溶解(溶かす)ためにエタノールが配合されます。
皮脂を溶かす
エタノールなどアルコール成分には皮脂を溶かす作用があります。
育毛剤を塗布する際に、頭皮の毛穴周りに皮脂汚れが残っていると、成分の浸透性が下がります。
そこで、エタノールで皮脂を溶かして、成分の浸透性を高めます。
頭皮の殺菌
エタノールには殺菌や消毒の効果が期待できます。
頭皮には見えない菌が繁殖していて、フケ・かゆみ・ニオイ、抜け毛など様々なトラブルを引き起こす要因になっています。
エタノールの殺菌作用により、それらのトラブルを防ぐことができます。
▼ 補足:エタノールの種類
育毛剤に含まれているエタノールには、「無水エタノール」・「エタノール」・「フェノキシエタノール」があります。
無水エタノールは水をほぼ含まない、エタノール純度が99.9%以上の成分を指し、主に成分同士を混ぜるために使われています。
一方、エタノールは、5%程の水分が含まれています。無水エタノールより殺菌力が強く、また、スーッとした清涼感を与えます。
また、フェノキシエタノールも多くの育毛剤に使われていますが、これは自然由来の成分で主に防腐剤として配合されています。(以前はパラベンがよく使われていた)
上記、「エタノール」の文字を含む3つの成分のうち、無水エタノールとフェノキシエタノールは、配合目的や全体に占める含有量の少なさから、頭皮環境への影響はほとんど心配いりません。
→ 頭皮へのデメリットの可能性が指摘されるのは「エタノール」です。(使用目的や含有量の多さから)
エタノールのデメリット(育毛剤の場合)
エタノールには育毛や発毛の直接的な効果は期待できません。
刺激性があるため、敏感肌など肌が弱い方が使用すると、ピリピリ・ヒリヒリなどの違和感を感じる可能性があります。
エタノールはアルコール成分のため、アルコールアレルギーのある方が使用すると、はれたり・かぶれたり、頭皮に異常が出る可能性があります。
エタノールは揮発性が非常に高いため、すぐに蒸発してしまいます。エタノールを多く含む育毛剤を塗布することで、頭皮から水分を奪ってしまいます。
その結果、頭皮の乾燥を招き、かゆみの原因ともなり得ます。普段から頭皮が乾燥しやすい方は、エタノールとの相性が悪いかもしれません。
一般的に言われているエタノールの悪影響はこのくらいで、お肌がデリケートな「敏感肌」「乾燥肌」の方へのデメリットが目立ちました。
頭皮地肌が敏感で乾燥しやすい人は、男性より女性のほうに多いと思います。そのため、エタノールの悪影響は女性のほうが受けやすいと言えます。
育毛剤や化粧品に含まれる成分の悪影響は、人それぞれで捉え方が違う
エタノールに限らず、化粧品の多くに含まれているパラベン、多くの市販シャンプーの洗浄成分である石油系界面活性剤など「人体に悪い影響を与える可能性があるから危険」と言われることがある成分は結構あります。
それらの成分は、専門的な調査の結果をみると、悪い影響を与える可能性が0%ではないのかもしれません。
でも、基本的に厚生労働省の認可を受けた製品に配合されている成分なので、過剰な心配はいらないと個人的には思います。
医薬品や医薬部外品の育毛剤は、厚生労働省の承認を受けて販売されています。
特に、医薬部外品は副作用の心配がほとんどなく(あったとしても肌の赤み・かぶれ程度)、使用によって重篤な症状が出たという話を聞いたことがありません。
ですので、アルコールアレルギーや極度の敏感肌・乾燥肌の方以外は、エタノールでの悪影響はあまり気にしなくても良いのではないでしょうか。