「甲状腺機能低下症」と抜け毛・薄毛の関係
女性のひどい抜け毛は、加齢によるものの他、頭皮環境の悪化や栄養不足、血行不良など複数の原因によって起こりうる症状です。
多くは放っておいても命まで取られることはありませんが、中には頭髪トラブルの背後に何らかの病気が隠れていることがあります。
その病気の症状の一つとして抜け毛の増加や薄毛になってしまうものですが、この場合はたかが抜け毛と思っていると、病気の進行を見逃してしまい命にかかわることもあります。
病気が背後に隠れた脱毛の場合は、病気に付随するそれ以外の症状も合わせて発生するので、何らかの体の異状を伴って抜け毛が増えた場合は病気を疑う必要があるかもしれません。
今回はそんな病気の一つ「甲状腺機能低下症」と髪の毛の関係を見ていきます。
甲状腺機能低下症とは?
これは甲状腺という臓器の一つが機能低下を示すもので、人の喉の周辺にある蝶のような形をした甲状腺が出すホルモンの分泌が減ってしまう症状をいいます。
甲状腺が出すホルモンは全身の細胞の成長を促す作用があり、これが減ると体の維持や成長ができなくなります。
甲状腺が機能低下を起こす原因はまだはっきりとは解明されていませんが、女性に多く発症する症状ということで、何かしら女性特有の身体システムに関係性があるのではないかと言われています。
ヒトの細胞の成長に関係するホルモンの分泌が滞ると頭皮の毛母細胞も影響を受けます。
毛根内では、毛乳頭からの細胞分裂指令を受けて毛母細胞が細胞分裂を繰り返しながら成長しこれが毛髪となるのですが、甲状腺ホルモンが減ると細胞分裂ができなくなり成長が止まってしまいます。
通常であれば毛髪は抜け落ちた後も次のヘアサイクルで新しい髪の毛が生えてきますが、甲状腺ホルモンの支援がない状態が続いていると、これも上手くいかずに薄毛に進んでしまいます。
この薄毛を治療するには、元凶である甲状腺の治療をしなければなりません。
抜け毛の他に付随する症状と治療法
甲状腺機能低下による抜け毛の増加や薄毛の場合は、他にも症状があるはずなので発見する手がかりになります。
例えば顔周辺のむくみです。顔面が腫れぼったくなったり目の周りがむくむといった症状が出やすいです。
また、疲れやすくなり倦怠感が強くなりこれが続きます。特に運動しているわけでもないのにやけに疲れる、あるいは運動習慣がある方は普段している運動ができなくなってきたなども参考にできる症状です。
はっきりと診断を受けるには医療機関で検査をして確定しないといけません。
甲状腺の機能を調べるには血液検査が必要です。
検査の結果甲状腺機能低下症がはっきりした場合は、ホルモンの補充療法が行われます。
ホルモン剤の投与を受けて足りなくなったホルモンを補充します。
残念ながら、現段階では根治的な治療は難しく、長い間ホルモン補充を続ける必要があります。
普段の生活では、ヨードの摂取に気をつけなければならないので、これを多く含む海藻類の摂取が制限されます。
ホルモンの補充によって体内のホルモン量が安定してくると抜け毛も自然に止まります。
ヘアサイクルの関係からすぐに毛量が回復するわけではありませんが、次の成長期にホルモンが十分にあれば元気な髪の毛が生えてくるので、半年ほどすれば毛量の回復を実感できるでしょう。
甲状腺の病気の治療は専門性が高いため、近所の医療機関では対処が難しいことが多いので、必要に応じて専門医の紹介を受けることになります。
検査自体は近所の病院でも可能ですので、心配な場合はまずはかかりつけのお医者さんに相談してみましょう。